【本題に入る前に】
本記事では以下のプレイヤー知識を前提として話を進めていきます。

・火力キャップ
攻撃力が一定の値を超えたとき、超過した分に√をつける処理が入り、ダメージの伸びが直線的ではなくなること。
・轟沈ストッパー
自軍の艦について、現在耐久(HP) - 被ダメージ ≦ 0 となる場合に、専用の割合ダメージ計算が行われること。
・4n
「残りHPが最大HPの1/4以下で大破となる」仕様により、無傷状態から轟沈ストッパーが発動する場合、耐久値が4の倍数である艦とそうでない艦で、大破する確率にそこそこ差があること。

詳しくはwikiの解説や、ヨウスケ氏による解説動画をご覧ください。


これらの内容を理解している提督は、そもそも4nの話が戦術上「重箱の隅をつつく」程度の議論であることも知っていると思います。
本記事もその域を出ないような細かい話ですが、よろしければお付き合いください。



1. 動機

South Dakotaという武闘派カワイイ戦艦がいます。
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彼女は指輪を渡す前の耐久値が91、すなわち4n+3。
指輪を渡すと耐久値がジャスト100、すなわち4nになります。
そして本記事を執筆している時点では、ケッコン後は海防艦を投入しても耐久値が上がらない仕様になっています。
(この仕様自体は長門/陸奥改二、Bismarck、速吸など他の艦娘にもあります)

さて、これまで4nという概念は主に駆逐艦や軽巡のような「低装甲低耐久の艦」を対象として議論されてきました。
戦艦という高装甲高耐久の艦が対象にならない理由は、単純に轟沈ストッパーの発動率が低い (言い換えると、一撃で耐久値以上の大ダメージを受けることが少ない) ためでした。

実際、昼砲戦の火力キャップが180だった21年2月までは、例えば火力220という姫級の仮想敵が装甲108のSouth Dakota改を殴った場合の (クリティカルでない) ダメージは、計算式により

敵艦攻撃力 = cap(220+5) = 180 + √45 ≒ 186.7
自艦防御力の下限 = 108×0.7 = 75.6
自艦防御力の上限 = 108×1.3 - 0.6 = 139.8
ダメージの上限 = [敵艦攻撃力 - 自艦防御力(下限)] = [186.7 - 75.6] = 111
ダメージの下限 = [敵艦攻撃力 - 自艦防御力(上限)] = [186.7 - 139.8] = 46

となるので、轟沈ストッパーが発動する (=耐久値より大きいダメージを受ける) 確率は低いものでした。

しかし現在の昼砲戦火力キャップは220です。同じ計算を新しい火力キャップで行うと、

敵艦攻撃力 = cap(220+5) = 220 + √5 ≒ 222.2
自艦防御力の下限 = 75.6
自艦防御力の上限 = 139.8
ダメージの上限 = [222.2 - 75.6] = 146
ダメージの下限 = [222.2 - 139.8] = 82

となるので、戦艦といえども轟沈ストッパーは決して無縁ではなくなります。
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現環境において、指輪を渡してHPを91→100とすることはリスクになるでしょうか?ならない (気にするほどではない/メリットの方が大きい) でしょうか?


2. 考察

より実用的な検討を行うために、今後も実際に対峙する可能性の高い敵艦で考えます。

今回の対象は甲作戦の戦艦棲姫改 (火力306) とします。
自軍・敵軍ともに連合艦隊で、陣形や交戦形態も考慮した場合の敵攻撃力は以下のようになります。
念のため第二や第三も入れましたが、最終海域のボスであれば大抵の敵は第四で来るはずなので、とりあえず一番下から4行だけ見てもらえれば十分だと思います。
名称未設定2

それぞれの攻撃力に対するSouth Dakotaの大破率はどうなるでしょうか。
今回は艦娘大破率計算機(仮)の力を借りてみましょう。
耐久値と装甲値を入力すると、敵攻撃力(キャップ等の計算をした後の最終攻撃力) に対する大破率をグラフで見ることができ、艦娘同士の比較も可能です。
スクリーンショット 2021-04-11 23.12.06
敵攻撃力170程度まではケッコン後のほうが大破率を抑えられることがわかります。
戦艦ル級改flagshipの火力が150、駆逐ナ級後期型Ⅱflagshipの雷装が141、航空戦における空母ヲ級改flagship(艦載機白赤)の艦攻(36機、雷装16、150%)の攻撃力が173.4 [※] ですから、「姫級以外の敵に対してはケッコン後のほうが強い」、つまり耐久上昇のメリットを受けられると言ってよいのではないでしょうか。
[※] 航空戦のキャップ値は170、雷撃戦のキャップ値は180

(余談) 昼砲戦において最も高い火力を持つのは空母棲姫改で、甲作戦仕様ではキャップ前480以上、キャップ後235〜240という水準になりますが、ここまで高くなると大破率の差はかえって縮まることもわかります。

一方、敵攻撃力230での大破率はケッコン前14.8%、ケッコン後29%となります。
この差だけを見ると、4n+3から4nになる影響は無視できないようにも思われます。

ただ、ここで忘れてはならないのが、4nに関する議論は無傷状態での被弾を前提にしているという点です。
4n+3と4nの大破率の差は、艦娘のダメージが蓄積すればするほど小さくなります
「大破ラインに近づくほど、次の攻撃で大破する確率が大きくなる」という当たり前の話です。

例えば小破状態 (ケッコン前68/91、ケッコン後75/100) からの大破率グラフはこうなります。
スクリーンショット 2021-04-12 0.04.07
1つ前の画像とは軸の範囲が違うことに注意しましょう。
敵攻撃力220以上での大破率の差は2.5%程度しかありません。

甲作戦の最難関海域で旗艦以外のポジションにSouth Dakotaを配置するなら、道中で何らかの被弾をすることは想定の範囲内です。
先に述べたように、姫級のパワーを持たない雑魚との戦いでは文字通り耐久力が向上しますから、「ボス到達まで踏ん張れる」という観点では明らかにケッコン後の方が優れていると言えるでしょう。

さらに耐久値以外の要素 (Lvを上げると命中や回避や索敵が多少なりとも確実に向上する、ケッコン後は非フィット砲のペナルティが軽減される等) まで考慮すれば、指輪にはデメリットよりも大きなメリットがあることは間違いありません。


3. 結論



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これからもよろしくお願いします。